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奈良地方裁判所 昭和56年(わ)130号 判決

本店所在地 奈良県橿原市八木町一丁目六番一九号

商号

株式会社朝日商会

代表者氏名

青木伸夫

代表者住居

京都市左京区上高野防山一番地の七

本籍 京都市左京区岡崎北御所町五五番地

住居

京都市左京区上高野防山一番地の七

職業

会社役員

氏名

青木伸夫

年令

昭和三年七月一三日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官宮下準一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告株式会社朝日商会を罰金一、六〇〇万円に、

被告人青木伸夫を懲役一年二月に、

各処する。

被告人青木伸夫については、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社朝日商会は、奈良県橿原市八木町一丁目六番一九号に本店を置き、商品先物取引業等を営むもの、同青木伸夫は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人青木は、被告人会社の業務に関し、その所得を秘匿して法人税を免れようと企て、

第一  昭和五二年四月一日から同五三年三月三一日までの事業年度における所得金額は一億一、六八一万三、七四三円、これに対する法人税額は、四、五二〇万九、九〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上、架空の精算取引差損金及び調査費等を計上し、よって得た資金を簿外の貸付金等として留保するなどの不正手段により、その所得金額のうち九、四一七万三、七八一円を秘匿した上、同五三年五月三一日奈良県大和高田市三和町二番地の一七所在の所轄葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が二、二六三万九、九六二円、これに対する法人税額が七五七万二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額四、五二〇万九、九〇〇円との差額三、七六三万九、七〇〇円をほ脱し、

第二  同五三年四月一日から同五四年三月三一日までの事業年度における所得金額は八、八九六万六、二四七円、これに対する法人税額は三、三九一万三、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち五、六七九万八、九二七円を秘匿した上、同五四年五月三一日前記葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が三、二一六万七、三二〇円、これに対する法人税額が一、一二二万一、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額三、三九一万三、一〇〇円との差額二、二六九万一、八〇〇円をほ脱し、

第三  同五四年四月一日から同五五年三月三一日までの事業年度における所得金額は七、六三八万八、八三八円、これに対する法人税額は、二、八二七万六、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち四、五七〇万八、一六四円を秘匿した上、同五五年五月三一日前記葛城税務署において、同署長に対し、所得金額が三、〇六八万六七四円、これに対する法人税額が一、〇〇二万円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よって右事業年度の正規の法人税額二、八二七万六、〇〇〇円との差額一、八二五万六、〇〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示各事実全部につき

一  被告人青木伸夫の当公判廷における供述

一  同被告人の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官の同被告人に対する質問てん末書(一〇通)

一  今西政雄、上林玲子、山田清、荒堀明夫の検察官に対する供述調書(各一通)

一  大蔵事務官の今西政雄(八通)、上林玲子、山田清(二通)、荒堀明夫、忍勝美、岡本好央、木村晃(二通)、西田幸一、尾浦樹夫(三通)、今西成好に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の昭和五五年一二月二日付、一二日付、一九日付、昭和五六年一月二三日付、二四日付、二月一〇日付(三通)、一八日付(二通)、二〇日付、二三日付、二四日付(二通)査察官調査書(検察官証拠請求番号10乃至28、以下番号のみ表示)

一  登記官作成の登記簿謄本

判示公訴事実第一及び第二につき

一  大蔵事務官の白井弘一に対する質問てん末書

判示公訴事実第一につき

一  大蔵事務官作成の被告会社にかかる昭和五二年四月一日から昭和五三年三月三一日までの事業年度分確定申告についての証明書(1)

一  同作成の右年度分についての脱税額計算書及び同説明資料(4、7)

一  大蔵事務官の鶯原知弘、木村清信に対する質問てん末書(各一通)

判示公訴事実第二及び第三につき

一  大蔵事務官作成の昭和五六年二月一〇日付査察官調査書(24)

判示公訴事実第二につき

一  同作成の被告会社にかかる昭和五三年四月一日から昭和五四年三月三一日までの事業年度分確定申告についての証明書(2)

一  同作成の右年度分についての脱税額計算書及び同説明資料(5、8)

一  大蔵事務官の塩入二夫に対する質問てん末書

判示公訴事実第三につき

一  大蔵事務官作成の被告会社にかかる昭和五四年四月一日から昭和五五年三月三一日までの事業年度分確定申告についての証明書(3)

一  同作成の右年度分についての脱税額計算書及び同説明資料(6、9)

一  大蔵事務官の吉田徹に対する質問てん末書

(法令の適用)

被告人青木伸夫につき、法人税法一五九条、七四条一項二号(所定刑中各懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最も犯情の重い判示公訴事実第一の罪の刑に加重)、同法二五条一項

被告株式会社朝日商会につき、法人税法一六四条一項、一五九条、七四条一項二号、刑法四五条前段、四八条二項(情状により法人税法一五九条二項を適用し免れた法人税の額に相当する金額以下の罰金を科す)

(裁判官 長﨑裕次)

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